2010年11月19日金曜日

平成22年度 役員研修・人権講演会

2010年11月19日(金)、市民会館おおみやで、さいたま市PTA協議会役員研修会・人権啓発講演会が開催されました。今年度で7回目となる市P協役員研修会ですが、今回もさいたま市人権教育推進協議会等と共催で実施されました。

第1部では人権標語と人権作文の表彰式が行われ、最優秀作品に選ばれた市内小中学校の児童・生徒が表彰されました。

人権標語の表彰            人権作文の表彰

第2部では、「極道の妻たち」の著作で有名な作家で真言宗僧侶の家田荘子さんにご講演頂きました。
聴衆に熱く語りかける家田荘子さん

以下、参加した保護者の方からの感想を紹介します。

  • 子どもは親に「愛されたい」と思っていることを、親は自覚した方がよいと思った。
  • 「あとで!」「今、忙しいから!」と言わず、その時、子どもの話を聞こうと思った。
  • 家の中で両親の態度や、周りの大人の行動を学ぶ子どもが多い。笑顔の家庭には笑顔の子どもが育つということなのだろう。
  • 「トラブルを起こした子どもが、『本当は心のうちを聞いてほしかった』という気持ちだったことに親たちは驚く」という話を聞いて、私は自分の子が中学、高校と行動範囲を広げていき、親の目の届かないところで行動するようになったときにも、きっといろいろなことがあるのだろうと感じた。その時、子どもの本当の心を開いてあげられるのかどうか、これは私たち家族の課題だと思う。
  • 性教育や薬物教育などは、家では普段からニュースなどを見ながら、結構、話をしているから大丈夫!なんて過信していてはダメだ!!と思った。
  • 子どもが大きくなると、なかなか会話をする時間がなくなると聞きます。私は、絶対1日1会話は子どもが結婚し巣立つ日までずっとしよう!!と決めました。
  • 挨拶をする人は、自分も明るいし他人も明るくする。まず、そこから実践していきたい。
  • いくつになっても小さな一歩を踏み出す!ということが大事だと思う。
  • 「人と比べると苦痛を伴うが、まずは一歩を踏み出したい」という話が印象的だった。

熱心に聴講する参加者たち

2010年11月4日木曜日

市P協設立10周年記念式典

2010年11月4日(木)、大宮ソニックホールにて、さいたま市PTA協議会設立10周年記念式典・祝賀会が盛大に開催されました。

国歌斉唱・PTAの歌の後、さいたま市P協会長 磯田一男よりご挨拶。
ご出席を賜った来賓への感謝の言葉を述べた後、次のように話しました。
…10年前、大宮・浦和・与野市が合併。3市が気持ちを一つにし、さいたま市PTA協議会が発足しました。平成17年には岩槻市も合併し、現在165校、10万人以上の会員を擁する組織となりました。これもさいたま市教育委員会関係各位、各区PTA連合会、各校PTAの諸先輩方のご尽力によるものと感謝しております。私たちは諸先輩方が培ってきた子どもたちの笑顔あふれる環境づくり、地域づくり、未来づくりを継承し、生きる力を育むため、何ができるか、何をしなければならないかをしっかり見極め、活動の在り方を見直し、活性化を図り、5年後・10年後につなげていきたいと考えております。今、子どもたちを取り巻く社会環境は大きく変化し続けています。携帯電話・インターネットの普及に伴う悪用事例をはじめ、さまざまな犯罪から子どもたちを守るため、学校・家庭・地域・行政の連携役としてさいたま市PTA協議会が大きな役割を担っています。会員の皆様のご協力、関係各位のご指導をいただきながら努力していきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。…

次に式典実行委員長 渡辺紀子よりご挨拶がありました。
…今に引き継がれる、協議による課題解決、情報公開、健全な運用資金の確保、各区PTA連合会の地域に密着した特色ある活動のできる体制を守りつつ、活動の場を広げ、行政や外部団体と良い関係を保ちながら、その窓口として教育環境の充実に大きく貢献して参りました。
昨今では、教育問題解決に向け、学校・家庭・地域の教育力の向上と連携がクローズアップされる中、PTAの果たす役割も重要になっております。社会教育団体のPTAとして、学校支援、子どもたちの支援のほか、親自身の生涯学習の場を作り、親自身も学び成長していくための支援も役割の一つだと思います。市P協として、広い視野の中でさまざまな課題について情報発信・問題提起し、共に学びあう場を持ち、連続性を持たせた研究討議をすることも、10年を経て組織確立をした今、次の進化のために考えていってほしいと思います。温故知新という言葉がありますが、10周年を機に、これまでつくりあげてきた実績を引き継ぎ、設立当初を振り返り、事業の目的や意義を活動の再認識したうえで事業内容を見直し、充実を図りながら子どもたちが安心して学べる環境づくりのために新たな出発点としてほしいと思います。…最後に、改めてこれまでの実績を作り上げた方々への敬意を表し、感謝を述べました。

続いて、来賓よりお祝いの言葉を頂きました。

さいたま市副市長 小林氏(清水勇人市長代読)
…このたび、設立10周年、おめでとうございます。日ごろから家庭学校地域において教育環境充実のため熱心な活動をされていることに御礼申し上げます。
さいたま市は誕生以来、現在123万人を擁する大都市へと発展してまいりました。さいたま市PTA協議会はさいたま市発足とともに、充実した活動を積み重ねてこられ、多大な教育の発展に多大な貢献に感謝申し上げます。
現在、さいたま市は子どもが輝く街をめざし、さまざまな視察に取り組んでおります。次の世代を担う子どもたちの健全育成のためには人と人との絆を取り戻し、家庭学校地域が共同して社会全体で育むことが大切です。家庭、学校、地域、行政をつなぐPTAの果たす役割の重要性が増す中、さいたま市PTA協議会におかれましては、今後とも変わりない教育行政ご支援ご協力を賜りますようお願いいたします。ますますのご発展ご健勝をお祈りしています。…

さいたま市議会議長代理の副議長 高橋氏
…さいたま市PTA協議会へのこれまでの実績への感謝とお祝いの言葉に続き、さいたま市にて行われた平成22年軍縮国際会議に、さいたま市の中学生が交代で傍聴した例を挙げながら、教育環境の充実のために議会としても務めてまいりたい、今後ともご支援・ご協力をお願いします。…





さいたま市教育長 桐淵博氏
…さいたま市PTA協議会の実績、地域への貢献へ多大な功績への感謝とともに、社会環境の変化を鑑み、厳しい中であっても、知徳体コミュニケーションの柱のもとで、バランスの取れた子供を育てるため、両者が連携して子どもたちを育てていきたい。また、教育・学校ビジョン作成のさいたま市PTA協議会の尽力への感謝とともに、教育は‘ジン’のなされるわざ、人のなす業であること、情熱をもって進むことの大切さを語られ、「さいたま市PTA協議会、行政ともに、これからも同様にさまざまな課題を本音の議論で進展させ、さらにこのよりよい関係を発展させ、パートナーシップを発揮していきたいと思います。…

小学校校長会長代理・副会長 柴崎氏から、お祝いと感謝の言葉に続き、
…子どもの成長を願い、成長に喜びを感じるのは親の率直な思いであり、学校も同じ。同じ思いの二者がこれを実現するためには、信頼という糸で結ばれていることが大切。子どもは、保護者と学校の信頼関係があれば、安心して通い、勉学に集中し、十分に個性を発揮できるもの。この教育のもとで成長を遂げたとき、人から信頼され信頼できる、社会に貢献する青年になる。今後も信頼関係を大事にしながら日本一の教育都市をめざし努力していきたい。これからもよろしくお願いします。…


中学校校長会会長 望月秀登志氏より、お祝いと10年を振り返っての感謝の後、
…さいたま市の、一人一人がいきいきと輝く個性を育むという基本構想のもとで、さいたま市教育総合ビジョンが策定され、教育の中長期的方向性が示された。中学校長会として、スローガンを掲げ、きめ細かな学校経営の推進、新学習指導要領対応と重点課題への取り組み、確かな学力の向上、個に応じた指導の充実、校長会の機能の充実・活性化をはかってまいります。これまでも現在もこれからも、学校家庭地域行政共に手を携え、子どもの未来のために協力し合っていけるように願っています。…


ご列席の全来賓のご紹介が行われ、それぞれお祝いの言葉をいただきました。

次に、歴代のさいたま市PTA協議会会長が表彰されました。
続いて社団法人日本PTA協議会が募集した『親子で話そう我が家のルール三行詩』から、さいたま市の子どもたちの優秀作品11点が紹介されました。

福田事務局長より、平成15年より県P連から独立し、直接、社団法人日本PTA全国協議会年次表彰の対象となったことに伴い、さいたま市P協より推薦され、表彰される予定の団体、個人、文部科学大臣表彰団体が紹介されました。

・日本PTA全国協議会会長賞団体賞
大宮南小保護者と教職員の会・与野西中父母教師の会

・同 個人賞 渡辺紀子・榎本泰助・本橋修・中村友美

・文部科学大臣表彰(全国で1校のみ)蓮沼小学校PTA

歴代のさいたま市PTA協議会会長を表彰

続いて記念講和が行われました。

講師は、さいたま市教育委員会委員長 大谷幸男氏。演題は『子どもたちのよりよき成長に向けて』です。以下、大谷氏のお話です。

子どもたちのよりよき成長に向けて、保護者はどうあったらよいか、お話しします。
その前に、20年前になりますが、肝に命じたことがございます。県立高校のオーナーは誰でしょう。教職員ではありません。教育委員会でもありません。納税者の県民です。さいたま市立の学校のオーナーは、通う子どもであり保護者なのです。皆様のために少しでも役に立つ講話をさせていただけるよう努力したいと思います。

さて、教育の目的とは何でしょう。教育基本法第一条にあるように、一つは、人格の完成、もう一つは国家社会の有為な形成者を育てることでしょう。子どもが育つためには嫌でもしなければいけないこともあります。
日経新聞水野明人社長の言葉に「ミズノが開発した水着は選手の要望を完全に満たしていたと思う。しかし‘選手が求めるものがいいもの’ではなく、選手に嫌がられても新しい発想の水着を開発する姿勢が必要だったのだろう。スピード社の水着は強く締め付けるなど選手が嫌がる要素を取り入れたが、それでも高く評価された。」ミズノはこの競争には敗北しました。体を締め付けることは決して良い心地はしないでしょう。ですが、選手の努力が実を結ぶためには、体を締め付ける水着が必要だったのです。

同じように教育も、心地よさだけでは成り立たず、ときに強制も伴うものです。ここで大事なのは、信愛です。人間というのは、尊敬できる人の話はよく聞くものです。信愛-愛する人、信じられる人の言葉には耳を傾けられるということです。

信愛を育むために保護者はどうしたらよいでしょう。難しくはありません。ただ保護者は人格的権威を保ち、真摯に生きる姿を見せるだけです。「おとうさん よるまでしごと ありがとう」という三行詩の優秀作品が紹介されましたが、そのとおり、親の背中を見て子どもは育つのです。尊敬している保護者の言葉はよく聞くことができるものです。教育の根っこは、保護者の生き方そのものなのです。ここで育まれた、倫理観、規範意識、人間性、コミュニケーション能力が根底にあってこそ、学力向上がなされるのです。

統計を見ますと、明らかです。挨拶をする子ども、朝忘れ物がないか確かめている子ども、学校の決まりを守っている子ども、携帯電話を持っていない子ども、テレビや新聞のニュースに興味や関心がある子ども、人が困っているときは進んで助けるようにしている子ども、自分には良いところがあると思う子どもの学力が高いのです。

ここで特に取り上げたいのは自己肯定感です。たとえば、子どもがテストで60点取ってきました。そこで保護者が「ばかじゃないの!」「何をやっているの!」「私たちの子とは思えないわね!」と言うのと、「これは合格点だ!良かったな。余裕があるな。次、もうワンステップやってみようよ。」と言うのではちがいますよね。私自身経験したことで恐縮ですが、登校拒否の息子を受け入れられず怒ったとき、息子は「僕、生まれてこなければよかった…」と言いました。2年たち、父として息子のこの在り方はありなのだと思った時、やっと前に進むことができました。 今では仕事を持ち妻子を持ち、第一土曜日に氷川神社で清掃活動ボランティアをしております。子どもが祝福されてきたと感じられるように、保護者として子どものすべてを受け入れることがいかに大事か悟った出来事です。3:2でほめるぐらいが丁度いいようです。結果の懲罰としての‘怒る’というより、指導として‘叱る’ことを心がけ、次のステージへつながるようにしたらよいかと思います。それが自己肯定感につながっていきます。究極を申し上げますと、「はいと返事」、「おはようと挨拶」、「靴を脱いだら揃える」この3つができれば、まず申し分ありません。

いずれ子どもは肉親の死に向き合うことになります。そのとき、子どもたちが、今自分が在るのは先祖、祖父母、父母、また様々な方々が、自分の命そのものを支えていること、また自分たちが今度は命をつないでいくことができるようにしたいですね。土合中いちがやさん(全国作文コンクール特選)が語っています。「悲しい祖父の死を通じて、命には限りがあると知り、家族や友達を大切にしなければならないと悟った…」と。何気ない日常の所作、仏壇に向かう、お盆、お彼岸にお墓参りにいくなどありますが、実は非常に大切なことではないかと思います。そうした何気ない習慣が、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めることにつながるように感じております。

最後になりましたが、感銘を受けた新聞記事がございますので紹介させていただきます。森鴎外を語る娘の言葉です。(以下、10月30日読売新聞より抜粋)
「鴎外は5人の父でした。・・・人を悪く言ったことのない父を長女は、パッパ(父)はほとんど私の心のすべてだった。・・・全身で肯定している親がここにいます。

子どもたちは、さいたま市の宝、国家の宝であります。皆様方のお子様がさらなる素晴らしい成長をされますことを願っております。


山田副実行委員長より謝辞が述べられました。
…大谷教育委員長、式典記念講和を熱くお話しいただきまして、ありがとうございました。教育の基本である、子どもたちが、倫理観、規範意識があり、豊かな人間性を持つために、親が大事であること、畏敬される親の姿をみせることの大切さを知りました。また、オーナーは納税者である市民県民であると改めて再認識しました。本当にさいたま市は教育に恵まれていると感じました。本日の講話を心におさめながら、市P協として更なる発展をめざします。今後ともご指導をよろしくお願いいたします。…

高島副委員長の閉式の辞をもって、式典の幕は閉じられました。

閉式の辞を述べる高島副委員長

式典後、和やかな雰囲気の中で、さいたま市PTA協議会設立10周年記念祝賀会が開催されました。

司会進行、澤登直子さんの開会の言葉で始まりました。

はじめは渡辺紀子実行委員長より主催者挨拶です。
…初めての周年行事で不安の中、歴代の会長様には、大変お世話になりました。様々なことを教えていただきながら今日という日を迎えることができましたこと、厚く御礼申し上げます。また、特に玉井さんと原口さんには、式典開催のための準備のほか、記念誌発刊のために大変なご苦労をかけましたが、快く支えていただきました。ありがとうございました。私は今日でPTAを本当に卒業いたしますが、これから磯田会長を筆頭に10年20年30年と熟成の期を迎えていくことと思います。今後とも、皆様のご協力ご尽力を賜りますようお願い申し上げます。…

乾杯は、さいたま市PTA協議会設立10周年の礎を築いた方々、旧大宮市代表初代会長 橋本氏、旧浦和市代表 玉井哲夫氏、旧与野市代表 望月氏、旧岩槻市代表 長久保氏がつとめました。
祝10周年ということで「おめでとうございます!」と乾杯しました。

歓談の間、旧友、親友に再会したかのごとく喜ぶ姿、新旧役員の素敵な出会いなど、会場は笑顔こぼれ、温かな空気に包まれていました。

途中、陰ながら、いつも支えてくださっている事務局の福田さん、沼澤さん、潤田さんに感謝をこめて、花束が贈呈されました。

中締めは全区P連会長を代表し、南区P連 中山会長が挨拶に立ち、続く一本締めにて会場が一つになりました。  閉会の言葉を山田副実行委員長がつとめ、散会となりました。

祝典に参加された皆さん